様々な原因によって起きることがある赤ら顔。
スキンケアを変えてみたり、生活習慣を気をつけてみたり、いろいろ試してもなかなか治らない。
そんな赤ら顔を治せる薬はあるのでしょうか?
赤ら顔の原因が様々あるように、その原因によって薬で治るのかどうかは変わってきます。
この記事では主な赤ら顔の原因別に、よく治療薬などとして処方さている、使用されることがある薬をご紹介しています。
目次
1. 赤ら顔は薬で治すことができるの?
できれば薬で赤ら顔を治したいとお思いの方は多いと思います。赤ら顔は薬で治すことができるのか、効果的な薬はなんなのかをお話しします。
1-1. 赤ら顔の原因によって効果が変わる
赤ら顔といってもその原因はニキビだったり、毛細血管拡張症だったりと様々です。原因が異なるため、すべてに赤ら顔に対応できる薬は残念ながらありません。
そして薬で改善が見込める症状もあれば、薬を使用してもなかなか改善されない症状もあります。
まずはご自身の赤ら顔がどのタイプなのかを参考程度にこちらの記事でチェックしてみてください。
【医師監修】赤ら顔の原因は?9つの赤ら顔タイプ別原因と対策を紹介
ですが、自己判断だけでは正しい治療方法を見つけることは難しいので、症状が深刻化している場合や悪化している場合はなるべく早く皮膚科などで医師に相談することをおすすめいたします。
1-2. 薬と合わせてセルフケアも必要
赤ら顔の原因によって効果的とされている薬が異なり治療方法も変わってきます。
もちろん、医師に相談した上で治療は進めて行くものですが、治療と並行してセルフケアをして行くことも症状を改善するための近道になります。
セルフケアはスキンケア、食生活、睡眠などの生活習慣なども含まれます。せっかく正しい治療ができていてもセルフケアが一切できていなければ、効果が出る阻害要因になってしまうことも。
薬だけに頼らず、自分の生活習慣からも見直してみましょう。
1-3. 赤ら顔の原因別の治療薬
赤ら顔の原因別に、治療薬としてよく処方されている薬をご紹介。
赤ら顔の原因によっては医師でも見解が分かれることもあります。
事前に少しても薬を知っておくことで、実際に処方され、一定期間使用して効果がなかった場合などの相談材料になることもあると思います。
あくまで自己判断で薬を選ぶことは難しいので、この記事は参考にとどめていただき、必ず医師に相談して自分にあった治療薬を選んでもらいましょう。
2. 敏感肌
敏感肌はバリア機能の低下によって、外部からの刺激によってダメージを受けやすく炎症が起きやすいです。その炎症によって顔が赤らみ、赤ら顔になってしまうことがあります。
2-1. 軽度の敏感肌の場合
「保湿」を目的とした薬を処方することがほとんどです。肌のバリア機能が低下して乾燥しやすい状態となっているので、改善には保湿が最重要となるのです。
敏感肌で処方されることが多い薬はこちらです。
《油脂性軟膏》
油性の薄い保護膜を生成することで、外部刺激から肌をまもる効果があります。また、皮膚柔軟作用も持ちます。
安定性と安全性が高いため、敏感肌や肌の弱い部分にも使用することが可能です。
代表的なものに、ワセリンがあります。保湿・皮膚の保護効果は高いですが、ベタつくなど、使用感はあまりよくありません。
《ヘパリン類似物質》
体内にもともと存在する「ヘパリン」と同等の作用を持つ成分です。
ヘパリンとは、ヒアルロン酸などと同じムコ多糖類の一種で、新陳代謝を促す作用や、高い保湿作用を持ちます。
水と結びつきやすいため肌なじみがよく、刺激も少ないとされています。
《尿素クリーム》
尿素を配合したクリームです。尿素とはNMF(天然保湿因子)の一種で、もともと角質層内に存在する成分。角質をやわらかくする作用を持ちます。
2-2. 重度の敏感肌の場合
重度の敏感肌の場合は、「免疫機能の働き過ぎ」と「かゆみ」を抑えることを目的とした薬が処方されることが一般的です。
炎症が起きているとかゆみが治らないので、抗炎症作用のあるステロイド外用薬を用いて炎症を抑える必要があります。
また、かゆみを抑えるために抗ヒスタミン作用のある抗アレルギー薬の内服も有効と言われています。
《ステロイド》
ストロイドとは、副腎という器官で生成されるホルモンのことです。これを人工的に合成したものをステロイド薬と言い、最近では、ステロイドというとこの薬を指すことがほとんどです。
ステロイド薬は、免疫機能を半ば強制的に落とします。つまり、免疫機能の働き過ぎを抑えることで、炎症細胞の活性化を抑えるのです。
これにより、かゆみ神経の活性も抑えられるため、結果として敏感肌の症状緩和につながります。
効果は大きいですが副作用の心配もあるため、経験豊かな医師に診断・処方してもらいましょう。
《抗ヒスタミン剤》
アレルギー症状の原因物質であるヒスタミンを抑制する薬です。
重度の敏感肌は、ひどいかゆみをともなうことがほとんど。ヒスタミンは、かゆみの原因物質でもあるため、これを抑制することが敏感肌の緩和につながります。
《タクロリムス外用薬》
代表的な非ステロイド外用薬です。ステロイドに比べると効き方が優しいため、効果の現れも低くなりますが、ステロイドで見られる副作用の心配はほとんどありません。
3. ニキビ
ニキビによって赤ら顔になるのは、慢性的に繰り返しできる赤ニキビによるものです。その他、ニキビ跡が赤く残り赤ら顔に見えることもあります。
薬の種類として、一般のドラッグストアで販売されている一般用医薬品、皮膚科で処方してもらう医療用医薬品があります。
ちょっとしたニキビであれば、市販の薬でも改善は見込めますが、どうしてもすぐに改善したい方は皮膚科で処方してもらう方が確実です。
3-1. 市販のニキビ薬
適量を患部に塗布するだけの塗り薬が主流です。ただし1週間使用しても改善しない場合は、使用を中止して医師に相談しましょう。
ステロイドの長期使用は逆にニキビの原因になることもあります。
下記の中では「テラ・コートリル」が抗生物質配合ステロイド系の外用薬です。大きく腫れた炎症ニキビを早く治しますが、継続的使用や広範囲には使わないよう注意してください。
- オロナインH軟膏
- テラ・コートリル
- クレアラシル
3-2. 処方薬
《抗生物質》
ニキビの原因の1つであるアクネ菌などの菌が繁殖した際に、菌を抑えるために使用し、赤みを改善します。即効性があり、瞬時に改善したいときに使用します。
- ミノマイシン
- ダラシン
- アクアチム
《抗炎症剤》
ニキビの炎症がひどい時に処方されることが多い薬で、その中でもニキビ治療に処方されることが多いのがこちらの3つです。
- リンデロン
- スタデルムクリーム
- ブルフェン
《皮脂分泌抑制剤》
皮脂の分泌を抑えてくれる効果のある薬。
直接塗るものとしては、有効成分として硫黄とカンフルが配合されたイオウカンフルローションなどが挙げられます。
また、それ以外には飲み薬として、ビタミンB2・ビタミンB6などのビタミン類や、ホルモンバランスを整えることで皮脂の分泌過剰を抑え、ニキビが出来にくい状態にする薬も使われています。
ホルモンバランスがニキビの原因になっていることがよりはっきりしている場合は、低用量ピルなども用いられることがあるようです。
《ビタミン剤》
皮膚組織の回復を早め、肌の新陳代謝を高める。市販のサプリメントに比べると、吸収効率などが良い。
- シナール
- ハイチオール
《ビタミンA誘導体の軟膏》
近年保険が用いられるようになった薬で、重度のニキビに対しても効果が高いと言われています。
新陳代謝を高める作用のある塗り薬のため多くの方はヒリヒリ感が出ます。
《「過酸化ベンゾイル」配合のニキビの新薬》
「過酸化ベンゾイル」入りの薬はアクネ菌の殺菌力に加えて炎症と皮脂の過剰分泌を抑えます。軽度から中度のニキビに効果を発揮。
継続的に使うことでアクネ菌の繁殖を抑えるためニキビ予防にも効果的で、角質を取り除く働きもあるので毛穴の詰まりも予防してくれます。
4. 脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎は皮膚にある常在菌マラセチア菌が異常に増えてしまい、かゆみや炎症を起こす病気です。
皮膚科では、脂漏性皮膚炎と診断されたら、かゆみや炎症を抑えるステロイド、マラセチア菌の働きを抑える抗真菌薬が処方されることが多いようです。
かゆみが強い場合は抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の内服をします。また、皮脂分泌のコントロールのためビタミンB剤の内服をする場合があります。
《外用抗真菌薬》
抗真菌薬は、マラセチアの活性をおさえる効果があります。抗真菌薬にも種類がありますが、脂漏性皮膚炎の場合に処方される薬はこの3つが多いようです。
- ミコナゾール
- ケトコナゾール
- イトラコナゾール
《ステロイド》
症状の改善に速効性のあるステロイド薬が使われることもあり、ゆみや炎症の強さによって処方されます。
- リンデロン
- ロコイド
- キンダベート
5. アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎による赤ら顔は炎症による赤みが原因です。
炎症の程度はアトピーの症状段階によって異なってきますが、乾燥による赤みや、重症なものだと「腫れ」を伴う炎症で赤みがでてきます。
医療機関での治療薬には、主にステロイドと免疫抑制剤があります。
《ステロイド 》
アトピー性皮膚炎は、名前の通り皮膚の炎症なので、皮膚の炎症を抑える薬が中心で炎症を強力に抑えるのが、ステロイドです。
ステロイドの効果としては、炎症を抑える作用、ストレスに対抗する作用などがあり、アトピー性皮膚炎の場合は「炎症を抑える」目的で、ステロイドが使用されます。
- プレドニン
- リンデロン
- デカドロン
- セレスタミン
ステロイドには、様々な種類、強さがありますので、アトピー性皮膚炎の症状、重症度に応じて変え、炎症を抑える作用から5つに分けられています。
《免疫抑制剤》
免疫に重要な働きをするTリンパ球を抑制するので、免疫抑制薬と言われています。Tリンパ球は、体の中でウイルスなどの感染への防御してくれます。
- プロトピック(タクロリムス軟膏)
飲み薬には、カプセル・錠剤・粉・シロップといった様々な形の薬があります。
アトピー性皮膚炎の湿疹で辛い痒みを抑えるために、内服薬が使われます。特に抗ヒスタミン薬が中心になります。
《抗ヒスタミン薬》
ヒスタミンという物質を抑える薬です。
ヒスタミンというのは、かゆみを起こしたり、鼻水を起こしたり、くしゃみを起こしたりする作用があります。アレルギーを起こす物質が体に入ると、肥満細胞という白血球からヒスタミンが出てしまいます。
このヒスタミンの作用を抑えるのが抗ヒスタミン薬です。
《抗アレルギー薬》
抗アレルギー薬は、アレルギーを起こす体内のたん白質を抑える作用があります。湿疹を起こす化学物質を抑えたり、アレルギーを起こす白血球の働きを抑えます。
- インタール
- リザベン
- ソルファ
6. 酒さ
酒さは原因が明確に解明されていない皮膚疾患です。鼻、頬、額、口まわりなど、顔面に赤みやほてり、かゆみなどが出て、長期間にわたって赤みが引かないことがその特徴です。
酒さの治療薬には、塗り薬と飲み薬があります。
海外では酒さ治療の塗り薬として処方されている薬でも日本では認可されていないものも多いです。
そのため、日本では一部でニキビの処方薬やアトピー性皮膚炎の塗り薬などを処方されることもあります。
ですが、海外で処方されている薬に比べると効果は薄く、またアトピー治療に使われるプロトピックに関して言えば、一時的に効果はあるものの長期使用すると逆に悪化する可能性も指摘されることも。
酒さは、日本ではガイドラインがない疾患のため、明確な治療が定まっていません。こちらでは、日本の酒さ治療で処方されることがある薬をご紹介。
《塗り薬》
- プロトピック(タクロリムス軟膏)
炎症を鎮める効果があり顔の赤みに対して効果的なことから、酒さに用いられることもありますが、長期使用で皮膚炎を引き起こす副作用があるとされています。
- イオウカンフルローション
昔からニキビ治療に使用されてきた薬で、殺菌・殺虫作用やゆるやかな消炎作用が認められています。
- クリンダマイシン
ニキビによく効くとされる抗菌塗り薬で、抗生物質により菌の発育を阻害してにきびを抑えます。にきび状の点タイプの酒さには効果があるといわれています。
《飲み薬》
酒さに対する内服薬はそれほどなく、海外では近年ドキシサイクリン内服薬が効果的であるとされてきていますが、日本ではまだ認可されていません。
同じテトラサイクリン系抗生物質の内服薬を処方されることがあるようです。
- ミノマイシン
- ビブラマイシン
7. 毛細血管拡張症
毛細血管拡張症とは、皮膚の真皮の毛細血管が拡張したもので、血流が通常にくらべて増加した状態です。それにより毛細血管が赤く透け赤ら顔に見えることもあります。
毛細血管拡張症はレーザー治療や光治療がメイン治療となっていることが多く、薬での治療はサポート的になります。
医師の診断によっては、保険適応の「漢方薬」「抗生物質」が処方されることもあります。
《漢方薬》
漢方薬は天然の生薬を調合して作られているため、一般的な薬よりは体に優しいとされています。
市販の薬が病気の原因に直接的に作用するのに対し、漢方薬では体質の改善や自然治癒力を高めていくことで、慢性的な症状を緩和して体調を整えていきます。
一般的に「のぼせ」、「赤ら顔」の治療に用いられる漢方薬をご紹介。
- 桂麻各半湯(ケイマカクハントウ)
- 三黄瀉心湯(サンオウシャシントウ)
- 桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)
- 桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
《抗生物質》
毛細血管拡張症の原因のひとつである、ニキビの炎症で周りの皮膚がうっ血している場合はなどは抗生物質を処方されることがあるようです。
- ミノマイシン
- クラリス
■スロトンゲスト(strongest:最も強い)
・プロピオン酸クロベタゾール(商品名:デルモベード)
・酢酸ジフロラゾン(商品名:ジフラール・ダイアコート)
■ベリーストロング(very strong:とても強い)
・フランカルボン酸モメタゾン(商品名:フルメタ)
・酪酸プロピオン酸ベタメタゾン(商品名:アンテベート)
・フルオシノニド(商品名:トプシム・シマロン)
・ジプロピオン酸ベタメタゾン(商品名:リンデロン-DP)
・ジフルプレドナート(商品名:マイザー)
・ブデソニド(商品名:ブデソン)
・アムシノニド(商品名:ビスダーム)
・吉草酸ジフルコルトリン(商品名:ネリゾナ・テクスメテン)
・酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン(商品名:パンデル)
■ストロング(strong:強い)
・プロピオン酸デプロドン(商品名:エクラー)
・プロピオン酸デキサメサゾン(商品名:メサデルム)
・吉草酸デキサメサゾン(商品名:ボアラ・ザルックス)
・ハルシノニド(商品名:アドコルチン)
・吉草酸ベタメタゾン(商品名:リンデロン-V・ベトネベート)
・プロピオン酸ベクロメタゾン(商品名:プロパデルム)
・フルオシノロンアセトニド(商品名:フルコート・フルゾン)
■マイルド(mild:中等度)
・吉草酸酢酸プレドニゾロン(商品名:リドメックス)
・トリアムシノロンアセトニド(商品名:レダコート・ケナコルト-A)
・ピバル酸フルメタゾン(商品名:ロコルテン)
・プロピオン酸アルクロメタゾン(商品名:アルメタ)
・酪酸クロベタゾン(商品名:キンダベート)
・酪酸ヒドロコルチゾン(商品名:ロコイド)
■ウィーク(weak:弱い)
・プレドニゾロン(商品名:プレドニゾロン)
・酢酸ヒドロコルチゾン(商品名:コルテス)
8. まとめ
赤ら顔の原因別の治療薬はご参考いただけましたか?
もちろんこちらの記事でご紹介している薬だけが治療方法ではないので、他の薬を処方されることもありますし、薬以外の治療方法もあります。
あくまで参考までにとどめていただき、肌状態にあった薬を皮膚科などの専門を受診し選んでもらいましょう。
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