【医師監修】赤ら顔の治し方!9つの赤ら顔タイプ別改善方法をご紹介

【監修】三宅 真紀先生

顔が赤い人の画像

暑くもないのに、「顔赤いね?」なんて言われたことありませんか?熱もないし、お酒を飲んでいるわけでもないのに顔が赤い、赤ら顔。

原因がわからないから何をしたらいいのか、どうやって治せるのかわからないと、お悩みの方はとても多いです。

しかし赤ら顔にはタイプがあり、その原因によって治し方も大きく変わってきます。

原因が様々ということを知らずに、誤ったケア方法をしてしまうと悪化させてしまうこともあるので注意が必要です。

まずは自分がどの赤ら顔のタイプなのかを知り、正しい知識を持った上で、その症状にあった改善方法を試していきましょう。

2018/05/24更新

1. 自分の赤ら顔のタイプを知る〜赤ら顔チェックリスト〜 

女性の画像

赤ら顔のタイプは9つあります。チェックリストで、一番チェックが多くついたタイプが赤ら顔の原因である可能性があります。

まずは自分はどのタイプの赤ら顔なのかを確認してみましょう。

それぞれのタイプの治し方については2章で詳しくご紹介しています。

A

肌が薄い
乾燥して粉をふくことがある
汗をかくとかゆくなる
化粧品がしみる・ピリピリ刺激を感じたことがある
化粧品をつけて赤くなったことがある
B 肌質は乾燥肌よりも脂性肌より
赤みのある部分は触れると痛い
ニキビ自体が赤くなっている
慢性的にニキビを繰り返している
ニキビ跡が残りやすい
C 赤みがあるのは額、鼻まわりなどの皮脂が多い箇所
ニキビのような湿疹ができている
かゆみがある
赤みがある部分はカサカサもしている
部分的に皮が剥けている
D アトピーを起こしやすい体質
乾燥肌である
湿疹がある
赤みがある部分はかゆみがある
額、目まわり、口まわりなどに赤みが出やすい
E 皮膚が脂っぽい
ニキビのような湿疹がある
鼻・頬・額などが赤くなっている
赤みの部分はほてり、かゆみがある
30代以降になってから発症した
F 皮膚が乾燥して敏感
かゆみがある
細かい血管が肌表面に透けてみえる
くもの巣状に血管が浮き出ている
鼻まわりや頬によくみられる
G 肌が薄い
乾燥している
かゆみ・ヒリヒリとした刺激を感じることがある
赤みが出やすいのは鼻や頬
毛細血管が透けている
H 人に注目されると赤くなる
人前に出て話をする場面で赤くなる
赤面の症状だけではなく、声が震えたり、どもってしまう
友達と話していて、自分に話題が振られた途端に赤くなる
異性に話しかけられるとすぐに赤くなる
I 顔が突然火照る
理由がないのに動悸がする
暑くないのに汗が出る
イライラしたり、怒りっぽくなったりする
生理の周期が不規則になったり、量が少なくなった

A. 敏感肌タイプ→
敏感肌による赤ら顔は、肌に合わない化粧品やアレルギー、肌の乾燥や摩擦などの刺激を受け、炎症を起こすことが考えられます。肌の表皮が薄いため、見えないはずの毛細血管の色が透けて赤くみえてしまうことも。

B. ニキビ・ニキビ跡タイプ→
ニキビによって赤ら顔になるのは、慢性的に繰り返しできる赤ニキビによるものです。赤ニキビは炎症を起こしているので、ニキビ周辺の皮膚も赤くなります。その他ニキビ跡が赤く残り赤ら顔に見えることもあります。

C. 脂漏性皮膚炎タイプ→
脂漏性皮膚炎は湿疹の疾患です。皮脂腺が多く皮脂の分泌の多い顔(特に鼻の周りなど)や頭皮に起こりやすいです。かゆみをともない、赤くなったり、皮膚が荒れてカサつき、ベラベラとはがれてくる場合もあります。

D. アトピー性皮膚炎タイプ→
アトピー性皮膚炎による赤ら顔は炎症による赤みが原因です。炎症の程度はアトピーの症状段階によって異なってきますが、乾燥による赤みや、重症なものだと「腫れ」を伴う炎症で赤みがでてきます。

E. 酒さタイプ→
「酒さ」は慢性皮膚疾患のひとつで、20代~60代の幅広い層に見られますが、特に発症しやすいのが、中年以降の女性だとされています。
鼻、頬、額、口まわりなど、顔面に赤みやほてり、かゆみなどが出て、長期間にわたって赤みが引かないことが特徴です。

F. 毛細血管拡張症タイプ→
毛細血管拡張症とは、皮膚の真皮の毛細血管が拡張したもので、血流が通常にくらべて増加した状態で皮膚が赤くなることをいいます。クモの巣状や糸くずのような毛細血管が見えることもあります。
毛細血管が集中している鼻や頬に症状が出やすいのが特徴です。

G. 菲薄化(ひはくか)タイプ→
菲薄化(ひはくか)とは皮膚が薄くなることをいいます。主な原因は加齢による女性ホルモンの減少によって、皮膚が薄くなることで、毛細血管が赤みが透けて見えるため、赤ら顔になります。

H. 赤面症タイプ→
赤面症は、対人恐怖症の中でも、特に多く見られる症状のひとつになります。赤面恐怖症、赤面恐怖、赤面癖ともいい、人前で緊張すると顔や耳の辺りが赤くなる症状です。

I. ホットフラッシュタイプ→
40代以降の女性の更年期障害に伴い、温度変化や物理的な変化に影響され、皮膚に近い部分の血管が拡張して顔が火照り、両頬から顔全体にかけて赤くなりやすくなる症状です。

 

 

2. 赤ら顔のタイプ別の治し方

2-1. 敏感肌タイプ

敏感肌のイメージ画像

敏感肌は最近では、自称敏感肌という方も少なくありません。

本来の敏感肌とは、様々な要因でバリア機能が弱まり、角層が荒れた肌のことを指します。

バリア機能が低下する原因としては、ストレスや体調の変化、摩擦や花粉、乾燥などの刺激を受けることが考えられます。

敏感肌タイプの治し方は【バリア機能を高める・正しいスキンケア方法を行う】

 

バリア機能を高める2つの方法

【セラミド配合のスキンケア】

肌のバリア機能を高めるには保湿ケアが重要です。そこで化粧品によるスキンケアで押さえておきたいのが「角質細胞間脂質(セラミド)」です。

セラミドは水分が肌から逃げないように保ってくれたり、外部の刺激から肌を守る役割があります。このセラミドは加齢とともに減少するため、角質層のバリア機能をサポートするためにも、セラミド配合の化粧品を使用しましょう。

 

【内側から整える】

特に良いとされているのが腸内環境と整えてくれるような食品です。発酵食品や乳製品は腸を整えてくれるので免疫力アップにもかなり効果的です。

その他にも抗酸化作用のあるトマトやブロッコリー、老化防止や女性ホルモンの分泌に効果があると言われているサーモンや大豆製品などがオススメ。

 

正しいスキンケア方法を行うためのポイント

【摩擦を与えない】

肌のバリア機能が低下する理由の1つに肌が薄くなるというものがあります。これは肌に摩擦が加わると肌が薄くなり、ちょっとの刺激でも肌荒れや炎症を起こす原因になります。

洗顔はもちろん、化粧水をつける時などもコットンで肌を擦らないようにつけるのがポイントです。ちょっとしたことで肌は薄くなるので日頃から摩擦には気をつけるようにしましょう。

 

【クレンジングは肌に負担のかけないミルクタイプ】

一般的なオイルクレンジングなどは洗浄力が高い分、肌に負担がかかります。敏感肌や乾燥肌は、肌に一番負担がなく乾燥しにくいミルクタイプのクレンジングがオススメです。

 

【洗顔をするときは1分以内】

しっかりと汚れを洗い流したいからといって、入念に時間をかけて、、、というのは肌に負担をかけます。1分以内に終わらせるようにしましょう。また洗顔時の温度は32度のぬるま湯がベストです。

 

 

2-2. ニキビ・ニキビ跡タイプ

ニキビ肌のイメージ画像

ニキビによる赤ら顔は、赤ニキビが慢性的にできる状態や、炎症が鎮まった後も毛穴の周りの毛細血管がうっ血してしまうことで色素沈着したニキビ跡として赤く残ることが考えられます。

赤ニキビは炎症を起こしているニキビなので、清潔を保ち肌の炎症を鎮めることが大切です。

赤く色素沈着したニキビ跡は、美白効果のある化粧品を使用することやターンオーバーを促していきましょう。

赤ニキビタイプの治し方は【炎症を鎮めること】

 

炎症を抑えるための4つの対策

【炎症を抑える市販薬を1週間使用する】

炎症を抑えてくれる抗炎症効果のある市販薬の使用が、赤ニキビには効果的です。また1週間使用しても改善されないようであれば使用を中止しましょう。

ドラッグストアで販売しているニキビ用の市販薬でも、抗炎症効果のあるものがあるので、薬剤師がおすすめするものを選ぶのがいいでしょう。

 

【低刺激性の化粧品に切り替える】

赤ニキビの場合は、ヒリヒリ・チクチクなど刺激感のあるものは使用を控えましょう。洗顔によって過剰に分泌された皮脂を取り除くことは、ニキビの予防や悪化を防ぐために最も大切なことです。

ただし、洗顔後、強くこすっていないにもかかわらず、皮膚が炎症を起こして赤みを帯びたり、かゆみ、ヒリヒリ感、つっぱり感がでるものは使用はしないこと。肌にやさしい低刺激性の化粧品が炎症状態の赤ニキビがある肌にはよいでしょう。

 

【油分の多いクリームやファンデーションは使用しない】

油分の多く含まれた乳液・クリーム・リキッドおよびクリームファンデーションはできる限り避けましょう。

油分を多く含む化粧品は毛穴を塞ぐ原因にもなりやすいので、油分の少ないパウダリーファンデーションや《ノンコメドジェニック》と表示のある化粧品の使用がオススメです。

 

【炎症を悪化させる紫外線を避ける】

日焼け止めを使用しないで、紫外線に長時間当たってしまうと、紫外線が持っているエネルギーの影響をもろに受けてしまいます。その結果、肌の毛細血管が拡張して充血し、ニキビの赤みがますます目立つようになります。

また、紫外線によってつくられる活性酸素がより悪化させる原因にもなるため、紫外線対策は必須といえます。紫外線を防ぐには、オイルフリーの日焼け止めがいいでしょう。

 

この4つの1週間試してみて、一向に改善されない場合は、セルフケアでの改善は難しいかもしれません。皮膚科など専門医療機関での治療をしましょう。

 

赤いニキビ跡タイプの治し方は【セルフケア・皮膚科でニキビ跡治療】

セルフケア

肌を清潔に保ち、保湿を心がけながら正常なターンオーバーをくりかえすうちに、少しづつ赤みが薄れる場合もあります。ニキビ跡の赤みができてしまったら、何よりもターンオーバーが正常に行われるようにすることが大切です。

また、ニキビ跡を薄くするために、ビタミンC配合のスキンケアを使用するとより効果的です。

【ピーリング効果のある基礎化粧品】

毎日使う洗顔料や基礎化粧品に、ピーリング効果のあるものをとり入れてみましょう。

ピーリング化粧品は、肌表面の不必要な古い角質を人工的に取り除くことで、肌のターンオーバーを促します。

化粧水やジェル、洗顔料などがあり、酸性のピーリング成分、グリコール酸やフルーツ酸などのAHAや、サリチル酸などのBHAを含んでいる化粧品です。

商品によってピーリング効果の強さが異なるので、使用方法を把握したうえで使いましょう。

 

【ビタミンC配合のスキンケア】

ニキビ跡の赤みを薄くするのに最も効果を発揮するのはビタミンC配合のスキンケアです。

ビタミンCには皮脂を抑える効果やニキビの炎症を抑える効果があります。 特に、お肌への浸透が高いビタミンC誘導体(リン酸やAPPS)を配合した化粧水と美容液は最も効果的です。

 

皮膚科でニキビ跡治療

ニキビ跡の中でも軽度に分類される赤みに対しては、一般的に以下のような施術が施されます。

【ケミカルピーリング】

病院でのみ扱うことができる化学薬品によるケミカルピーリングで、ターンオーバーを促します。

【レーザーピーリング】

レーザーによるピーリング。波長の性質によって血流を抑えることで、赤みの改善へつなげます。

【フォトフェイシャル】

フォトフェイシャルとはIPL(インテンス・パルス・ライト)という光を肌に照射して行う光治療。

コラーゲンの生成を促し、シミやくすみ、赤ら顔など肌のトラブル全般を改善する効果が期待できます。

 

ニキビ・ニキビ跡のケア方法についての関連記事

 

2-3. 脂漏性皮膚炎タイプ

脂漏性皮膚炎のイメージ画像

脂漏性皮膚炎の原因はいくつかあり、その中でも主な原因として考えられているのがマラセチア菌という菌です。

マラセチア菌は人の皮膚に元々存在する常在菌ですが皮脂を好みます。このマラセチア菌が何らかの原因で皮脂の多い環境下で異常繁殖し、その代謝物が肌に炎症を引き起こすと言われています。

マラセチア菌が異常繁殖する要因としては、油の多い食事や刺激の強い食べ物の摂取、睡眠不足、ストレス、また紫外線などがあげられます。

脂漏性皮膚炎は、重症化して初めて治療に乗り出すケースが多いのですが、慢性化し再発を繰り返すことも多いため、医師に相談のもと早めの治療をオススメします。

脂漏性皮膚炎タイプの治し方は【薬での治療・生活習慣の改善】

 

薬での治療

【ステロイド外用薬】

薬物療法には短期間の外用で改善がみられるステロイド外用薬を用いられることも多いです。短期間の外用で改善がみられます。顔面や体幹には軟膏を、頭皮には液体のローションを外用します。

注意点は、脂漏性皮膚炎の症状の出やすい顔面や首は皮膚が薄い部位であり、長期使用に対する ステロイド外用の副作用を考慮して、弱めのステロイドを選択する必要があります。

 

【抗真菌薬】

マラセチアの増殖を抑えるための抗真菌薬も薬物療法でよく行われています。

ステロイドと比べ、効果が出るまでに時間がかかることや、重症例には効果が乏しい印象がありますが、ステロイドより局所的な副作用がほとんど見られないことから、軽症例や症状が落ち着いた後の再発予防によく使用されます。

また、皮脂を減少させる効果が期待されるビタミンB2やB6を内服する場合もあります。

 

生活習慣の改善

脂漏性皮膚炎は薬による治療と並行して、生活習慣を改善することが治すための近道です。

【基本は朝晩の1日2回洗顔】

皮膚の清潔を心がけ、毎日やさしく、かつしっかりと洗う

 

【ビタミンB群を取り入れる】

ビタミンB群を多く含む食品(レバー、しじみ、牛乳、卵、 ほうれん草、トマト、キャベツ、シイタケなど)を積極的にとるようにする。

 

【刺激物控える】

皮脂分泌を高めたり、 皮膚に刺激をもたらす、脂肪、糖分、コーヒー、アルコール、香辛料などはとりすぎないように注意します。

 

【増悪因子を減らす】

ストレスや過労、睡眠不足は症状を悪化させてしまうことになることもあるので、規則正しい生活と、十分な睡眠をとることを意識しましょう。

薬によって一時的に改善したとしても、マラセチアの増殖しやすい環境のままではまた再発してしまいます。日常生活を改善するところから、根気強くケアしていきましょう。

 

 

2-4. アトピー性皮膚炎タイプ

アトピー肌のイメージ画像

アトピー性皮膚炎とは、もともとアレルギーを起こしやすい体質の人や、皮膚のバリア機能が弱い人に多く見られる皮膚の炎症を伴う病気です。

主な症状は「湿疹」と「かゆみ」で、一度収まっても再発しやすく、なかなか治りづらいのが特徴です。

アトピー性皮膚炎には症状段階があるため、症状段階に合わせた治療をすることが大切です。

誤ったケア方法をすると悪化させてしまうこともあるため、医師の判断に基づき治療を進めていきましょう。

アトピー性皮膚炎の治し方は【症状段階に合わせた治療】

 

症状段階別の治療

アトピー性皮膚炎は大まかに4つの症状段階に分かれます。それぞれの症状段階によって治療内容も変わるため、症状が軽度の場合などはセルフケアで改善できる場合もあります。

症状が改善したら一段階軽いステージの治療に変更します。逆に悪化した場合は治療を一段階悪いステージのものに変更し、これを繰り返して症状を安定させます。

アトピーはとても複雑な疾患なので、自己判断はせず、専門医に相談し一緒に治療方法を決めていく方がいいでしょう。

【軽度】

肌がカサカサ乾燥。かゆみがある。赤みなどの目立った変化はない。
アトピーでも非常に軽い状態なので、スキンケアや生活改善で良くなることが多い。

【軽症】

肌がカサカサして赤みを帯びている。乾燥が悪化したところは、白く粉が吹いているような状態。フケのようなカサカサした皮がむけて落ちるなどの鱗屑(りんせつ)の症状も出る。

スキンケアの見直し、生活習慣を改善しながら必要であれば、免疫抑制外用薬(プロトピック軟膏など)を使用する。

【中等症】

乾燥や紅斑(こうはん)という赤い腫れ、鱗屑の症状が酷くなり、腫れた部分が固まる。固まった皮膚がヒビ割れし、汁が出てくることも。また引っかき傷などの跡が残りやすくなる。

免疫抑制外用薬を使用する。

※引っかき傷などの傷がある場合は、プロトピック軟膏は使用しない

【重症】

腫れて赤みを帯びて盛り上がる。粉を吹いたり皮むけする症状が一層悪化する。むくみや水泡ができたり、皮膚の浅い部分が剥がれて、ジュクジュクするびらんになることもある。

特に症状が重たい場合は、ステロイド外用薬で炎症を抑え、改善されてきたら弱いものに変えていく。

 

外用薬は、主にプロトピック軟膏かステロイド外用薬をメインに処方されることが多いようです。

それぞれメリット・デメリットのある薬なので、医師に相談した上で治療を進めていきましょう。

 

 

2-5. 酒さタイプ

酒さのイメージ画像

酒さは原因不明の疾患と言われており、30代から60代の人に多い、炎症性かつ進行性の慢性疾患です。赤み、小さな吹き出物、顔面の毛細血管の拡張などといった症状を引き起こします。

酒さの症状は、重症度によって、3段階に分類されています。

第一度酒さ(紅斑性酒さ)
顔がほてって肌が赤くなったり、少し太めの血管が赤い糸くずのように見えたりする。

・第二度酒さ(酒さ性座瘡(ざそう))
紅斑性酒さに加えて、ニキビのような膿疱(のうほう)ができる。

第三度酒さ(鼻瘤(びりゅう))
膿疱が悪化してコブように鼻の頭が盛り上がったようになる。

 

原因が明確にはわかっていない疾患のため、完治させることは難しいですが、症状を軽くしたり、悪化しないようにコントロールすることは可能です。

酒さタイプの治し方は【薬での治療・漢方薬】

 

薬での治療

一般的には軽度な酒さの場合は外用薬で様子を見ることが多く、程度によって外用薬と内服薬を併用するようです。

【内服薬】

酒さと診断された場合、抗菌作用のある抗生物質やメトロニダゾール系の内服薬が処方されることが一般的。

酒さの治療では保険が効かない場合もあるので、確認が必要です。

 

【外用薬】

酒さへの外用薬はさまざまなものが処方されています。

多くはニキビによる赤ら顔にも処方されるものですが、その中には肌のバリア機能が低下している酒さには不適なものもあります。

また症状を抑えるために、一時的にステロイド剤が用いられることもあります。

ステロイド剤は正しい使用方法で短期間使用するにはいいですが、長期的に使用してしまうと副作用の心配があります。

それぞれの薬の特徴を知った上で、医師の指導の元、安全に使用しましょう。

 

漢方薬

一時的に症状を抑えていくのではなく、酒さを根本から改善したい時には、漢方を試してみるといいでしょう。漢方薬は酒さになりやすい体質(お血)を改善することで、その症状が起こらないようにしていきます。

 

酒さ治療で処方される代表的な漢方薬

  • 十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)

酒さ対策の代表的な処方薬。その他に、赤みや熱を持つ湿疹、膿を持つニキビなど皮膚トラブルにも処方される。中ぐらいの体力の方に向いていて、体力が低下している人には向いていません。

  • 清上防風湯(セイジョウボウフウトウ)

熱によって生じた炎症や吹き出物、ニキビに処方される。赤ら顔で暑がりの方、体格もしっかりした方に向いています。

  • 桂枝茯苓丸(ケイシブリョウガン)

血の滞りをなくす処方で、酒さ、ニキビの他、生理痛や更年期障害など血行不良が原因の症状に適しています。体力のある方に向いていています。

  • 荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)

炎症がある症状に適していて、酒さ、慢性化したニキビの他、慢性鼻炎や慢性扁桃炎にも処方されます。中ぐらい以上の体力がある方に向いています。

  • 黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)

体の上部に熱がこもりやすく、のぼせたようになって顔が赤くなる方の他、鼻血、めまい、高血圧にも処方されます。暑がりで体力のある方に適しています。

 

 

2-6. 毛細血管拡張症タイプ

毛細血管拡張症のイメージ画像

毛細血管拡張症は、なんらかの原因で表皮の下にある真皮の毛細血管が拡張し、血液量が増加して血流が滞ってしまい、それが透けて肌が赤く見える症状をいいます。

毛細血管拡張症の原因はまだはっきりと解明されていないため、原因として様々な要因があるようです。

外部からの影響だけではなく体の中からの影響によるもあると言われています。

毛細血管拡張症タイプの治し方は【皮膚科で治療・セルフケア】

 

皮膚科で治療

毛細血管拡張症の治療には、一般皮膚科と美容皮膚科での治療があります。

提案される治療方法が異なるため、一度どちらも受診し、自分にあった治療法を見つけていくことをオススメします。

【一般皮膚科】

  • 漢方薬

漢方薬は天然の生薬を調合して作られているため、一般的な薬よりは体に優しいとされています。

市販の薬が病気の原因に直接的に作用するのに対し、漢方薬では体質の改善や自然治癒力を高めていくことで、慢性的な症状を緩和して体調を整えていきます。

毛細血管拡張症の漢方治療は、どの病院でも行っているわけではありません。漢方を処方してくれる医療機関を見つけることが先決です。

  • 抗生物質

毛細血管拡張症の原因のひとつである、ニキビの炎症で周りの皮膚がうっ血している場合は、ミノマイシンやクラリスなどの抗生物質を処方されることがあるようです。

こちらの抗生物質はニキビ治療の際に用いられることが多く、長期使用には向かない薬です。副作用などもあるため、症状がひどい場合に一時的に使用するのに向いている薬と言えます。

毛細血管拡張症の治療は即効性は得られにくいため、治療期間中ずっと飲み続けられるかどうかは医師の正確な診断が必要となります。

 

【美容皮膚科】

  • レーザー治療

レーザー治療とは、特殊な装置を使って、特定の波長の光を発生させ、それを患部に照射する治療法のことです。

照射するレーザーの種類によって、いろいろなレーザー治療がありますが、毛細血管拡張症の場合は、血液のヘモグロビンに反応するものを使い、毛細血管を凝固、収縮させて、赤みを消します。

レーザーの場合、保険適用になる場合と保険適用外の場合があるので治療を行う前にはしっかりと確認することが大切です。

  • 光治療

毛細血管に直接、フィルターをかけた優しいの光を当てることで、血管を収縮させ、赤みを抑える「光治療」は、一瞬だけ強い光を治療する部分に当てて、赤みの原因となっている血管を破壊します。

レーザーとは波長が異なるので、より痛みが少なく、施術後回復するまでのダウンタイムもほぼありません。毛細血管拡張症の症状がある部分にだけ反応するので、素肌へのダメージを最小限に抑えることができます。

  • 硬化療法

毛細血管拡張症の原因となっている血管に硬化剤を注射し、伸縮性のある包帯で圧迫することで血管の内側を密着させ、血管自体を小さくする「硬化治療」という治療方法もあります。

レーザー治療などでは難しい太い血管などに行うことが多い方法ですので、下肢静脈瘤や手の浮き上がった血管が異常に目立っている症状がみられる場合に用いられることが多いようです。

 

セルフケア

症状が軽度の場合は、食生活・スキンケア方法を変えるだけで改善できることもあります。また医療機関で治療と並行して、セルフケアをしていくことも大切です。

  • 香辛料・カフェイン・アルコールなどを控える
  • 自律神経を整える
  • 肌に負担をかけないスキンケアの見直し
  • 毛細血管にアプローチするスキンケアを使用する
  • なるべく寒暖差による刺激を与えない

 

 

2-7. 菲薄化(ひはくか)タイプ

菲薄化のイメージ画像

皮膚が薄くなった状態の菲薄化は、肌が薄くなることで赤みが透けて見えてしまいます。

主な原因は加齢による女性ホルモンの低下と考えられていますが、年齢関係なく肌の菲薄化が進んでしまうことも。

原因としては、乾燥や皮膚への摩擦など間違ったスキンケア方法によるものやステロイドの長期使用による副作用などと言われています。

菲薄化タイプの治し方は【女性ホルモンの低下を抑え、スキンケアでケアする】

 

女性ホルモンの低下を抑える

ホルモンバランスを整えるには、栄養バランスのよい食生活や規則正しい生活、ストレスを溜めないことが必要不可欠です。また過度の飲酒や喫煙は女性ホルモン低下につながるため、なるべく控えましょう。

【大豆イソフラボンでホルモンを補う】

大豆イソフラボンは大豆に含まれるポリフェノールの一種で、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをしてくれます。

エストロゲンは、生理周期を正して妊娠に備えたり、女性らしい体を作るのに欠かせないホルモンですが、加齢ととも減少してしまいます。

ですが、大豆イソフラボンを摂取することでmエストロゲンと同様の働きが得られるため、女性ホルモンの減少に影響される菲薄化にはぴったりの成分です!

大豆イソフラボンは納豆、大豆飲料、豆腐、油揚げなどに含まれています。

納豆なら一日1パック、豆腐なら半丁くらいを目安に摂取しましょう。

 

【ホルモンバランスを整える4つの生活習慣】

  • 心と体を休める

過労やストレスとホルモンバランスの乱れは密接な関係にあり、相互に作用します。

しっかり休息をとる、ぬるめのお湯に半身浴でゆっくり浸かる、リラックスするアロマで心を落ち着かせる、マッサージやストレッチなどの簡単な運動がおすすめです。

気分転換になる程度に、自分をいたわりながら心と身体を休めてあげましょう。

  • 運動不足の解消

適度な運動は自律神経を活性化させ、ホルモンバランスを正常に整えます。毎日少しずつでも、身体を動かすようにしてみましょう。

ウォーキングや散歩などの軽い運動でも効果は期待できます。

  • 喫煙やアルコールの摂取は控える

血行を悪くさせ、卵巣の働きを悪くさせるタバコはやめましょう。

また大量の飲酒を長期間続けるとホルモンのバランスが崩れ、生理周期が乱れたり、閉経の時期が早まることが報告されています。

  • 睡眠不足を避け、しっかりと睡眠をとる

睡眠不足になると視床下部や下垂体の機能が正常に働きにくくなり、女性ホルモンの分泌が乱れてしまうことがあります。

生理前に異常に眠くなったり、反対に寝つきが悪くなったりすることなども、女性ホルモンの作用が与える睡眠への影響です。

そのためしっかりと睡眠をとることが大切です。

 

スキンケアでケアする

【セラミド配合の敏感肌用スキンケア】

セラミドは角質層で、水分の保持機能とバリア機能の両方を担っています。

菲薄化が進んだ肌はセラミドが減少し、乾燥しやすく敏感な肌になりがちなので、スキンケアでは肌のうるおいを保つカギを握るセラミドが配合されているものの使用がおすすめ。

 

【肌に刺激を与えない】

菲薄化している肌に摩擦など刺激や負担をかけると、ますます皮膚が薄くなってしまうので、日ごろのスキンケアを丁寧にするよう心がけましょう。

  • クレンジングは負担が少ないミルクタイプ
  • 洗顔は32度くらいのぬるま湯で、1分以内に
  • スキンケアは摩擦などの刺激を与えないように優しく

 

 

2-8. 赤面症タイプ

赤面症による赤ら顔のイメージ画像

赤面症は緊張・不安・恐怖に伴う交感神経の活性によって生じる対人恐怖症のひとつです。

慢性的な赤みではなく、一時的な赤みになります。赤面症の方は、緊張状況下で交感神経が活性化すると、身体症状として顔面の紅潮が生じやすいのだと考えられます。

赤面症の根本原因ははっきりとはわかっていないそうです。

「なぜこうなってしまったのだろう」と考え悩むよりも、どうしたら良くなるかを考えましょう。

赤面症は体質的、精神的な反応で起こる症状なので、治したい!と強く考えている場合は専門医に相談することをオススメします。

赤面症タイプは【必要であれば精神科で相談する】

 

治療の中心は精神療法

赤面症の主な精神療法は2つあります。

【暴露療法】

暴露療法とは、その名前から想像できるように、自分から苦手な状況にかかんに進んでいき、徐々に苦手な状況に慣れていくことです。

赤面症はその特性から自ら人を避けて過ごしています。これを自分から人前に出る状況を作り、苦手な状況に少しずつ挑戦して慣れていくのです。

 

【認知行動療法】

これは難しい言葉に聞こえますが、分かりやすくいうと赤面症の方は「赤面することが悪いこと」と思っている潜在意識の方が多いので、それを修正していくことです。これは周りの支えも必要です。

周りにいる方が当人としっかりと向き合い、当人が自己暗示して思っていることを、それは悪いことではないと修正していく方法です。

 

その他、補助的にお薬を使うことも有効とされています。

赤面症を治療できる特効薬はありません。

しかし、赤面してしまう背景が不安や緊張・恐怖といった感情にあるのであれば、これらの感情を和らげてあげるお薬は治療に役立つ可能性があります。

お薬で不安を和らげる事で、上記の精神療法の進みがよりスムーズになる、と考えるといいでしょう。

 

 

 

2-9. ホットフラッシュタイプ

ホットフラッシュによる赤ら顔ののイメージ画像

いわゆる「ホットフラッシュ」という、のぼせやほてりは、更年期障害の代表的な症状のひとつです。 急に顔が熱くなったり、汗が止まらなかったりします。

閉経が近づくことによって、自律神経が乱れることにより、更年期障害が発生し、ホットフラッシュ症状が見られるようになります。

そのため、閉経によって自律神経が乱れることで起きる「血管運動神経の興奮」によるもので、50代女性に多く見られる症状になります。

赤面症タイプと同じく一時的な赤みで、突然起こる症状のため、適切な対策を取りつつ、病院での治療も視野に入れて見ましょう。

ホットフラッシュタイプは【セルフで対策&婦人科で治療】

 

セルフで対策

ホットフラッシュ症状が見られるような場合、まずは安静と落ち付いた環境づくりを心がけることが必要になってきます。

【ストレス解消】

血管運動神経系のバランスを整え、ストレス解消にもなるためオススメは、有酸素運動です。

軽く汗をかける程度の呼吸法、ウォーキング、水泳、ヨガなどは日頃運動していない方でも取り入れやすいエクササイズになります。

 

【体温調節】

ホットフラッシュ症状が出る前、または症状が出た際に冷やすことができるようにすること。

服装は、できるだけ風通しのよい素材の服を着用するようにし、暑くなった際に体温調節できるようにカーディガンなどで調節できるのがベストです。

また症状が出た際は、ウェットティッシュを首筋に当て、冷やすことも効果的。

 

【食生活の改善】

アルコールやカフェイン、刺激が強い香辛料などは体を刺激し、ホットフラッシュ症状を強くする恐れがあります。

また喫煙も血圧を上げる要因となるため、ホットフラッシュには悪影響を及ぼしますので、禁煙した方が改善には繋がりやすいでしょう。

 

婦人科で治療

ほてり、のぼせといったホットフラッシュ症状は、婦人科での治療で軽減することもできます。

治療方法としては、ホルモンの補充療法、生活指導、漢方薬といったものがあります。

【ホルモンの補充療法】

ホルモン補充療法とは、更年期障害の原因となる女性ホルモンのエストロゲンを、飲み薬や貼り薬などで補うことで症状の緩和、改善をはかる治療法のことです。

ホルモン補充療法に利用される処方せん医薬品は多くの種類があり、 更年期障害の症状全般に効果のあるものと、一部症状に効果のあるものがあります。

個人差はありますが、治療を始めてから1~2週間程度でホットフラッシュの症状は解消し始めるといわれています。

ホルモン補充療法については、副作用や容量の問題、補充するホルモンの内容、 補充方法などの違いもあるため、医師から十分な説明を得て、治療していきましょう。

 

【生活指導】

閉経以降は更年期障害だけでなく、女性ホルモンの低下により、急激な骨密度の低下、コレステロールや中性脂肪の増加、動脈硬化の進行など生活習慣病のリスクが高まります。

  • 適度な運動

例えば、毎日20~30分のウォーキング、週1回程度のジョギングや水泳など

  • 食事内容の向上

カルシウムは通常推奨一日600mgに200mgを加えた800mgを目標に、ビタミンDやKの摂取、魚介類や豆類からのたんぱく質を多くとるなど

日常生活に対する意識を高め、またストレスをためないよう適度な気分転換をはかって気持ちをリラックスできるように生活指導されることもあります。

 

【漢方薬】

ホットフラッシュの治療に使われている漢方薬で代表的な漢方はこの3つです。

  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

比較的体力があり、肩こり、頭痛、めまい、のぼせて足冷えなどのある方、更年期障害、肩こりなど

  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすい方の更年期障害、むくみ、冷え症など

  • 加味逍遙散(かみしょうようさん)

体力中等度以下で、のぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちのある方の更年期障害、不眠症など

漢方薬の良いところは、複数の症状に対して効果が現れることです。

しかし、漢方薬はその人の体質や体格などを考慮して処方されるので、その人とぴったり合えばよく効きますが、合わない場合はなかなか症状が改善されないということもあります。

その際は医師の診断のもと、他の漢方薬に切り替えるなどの対応が必要です。

 

3. まとめ

赤ら顔を治すためには、まず自分がどのタイプの赤ら顔なのかを判断し、そのタイプに応じた治し方を知る必要があります。

タイプによってはセルフケアのみで改善される場合もあれば、必ず専門医療機関での治療が必要な場合もあり、比較的改善されやすい症状から改善までに根気強いケアが必要なものもあります。

自分が該当するタイプについて正しい知識を身につけ、ケアしていくことが赤ら顔を治す近道ですので、参考にしてみてくださいね。

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