とにかくかゆみが辛いアトピー性皮膚炎。実はこのアトピーが原因で赤ら顔になってしまうこともあります。近年、大人になってからアトピー性皮膚炎を発症する人が増えています。大人アトピーは顔に赤みが強くでやすいのが特徴です。
アトピーは皮膚の症状によって治療方法が変わってくるので、赤ら顔でお悩みの方は、まず自分のアトピーがどの段階なのかを把握し、適切な対策や治療方法を知りましょう。
今回は、アトピーによる赤ら顔の原因と治す方法、症状段階別の治療方法についてご紹介します。
目次
1. アトピーによる赤ら顔の2つの原因
1-1. 乾燥や炎症による赤み
アトピー性皮膚炎は皮膚の炎症を伴う疾患です。
炎症の程度はアトピーの症状段階によって異なってきますが、乾燥による赤みや、重症なものだと「腫れ」を伴う炎症で赤みがでてきます。
近年、大人になってからアトピー性皮膚炎を発症または再発する人が増えていて、『成人型アトピー性皮膚炎』と呼ばれています。思春期以降から発症したアトピーの炎症は顔、首、胸、背中など上半身に強く出る傾向があります。特に顔に症状がでやすく、真っ赤になったり、腫れたりすることがあり、激しいかゆみを伴うことが多いです。
1-2. 掻きむしるなどの刺激による赤み
アトピーを発症すると一番辛いのが、耐えられないほどの激しいかゆみです。
かゆみがあることによって、ダメだとわかっていても掻きむしってしまう方は多いのではないかと思います。この掻きむしってしまう行動が、肌のバリア機能が低下しているアトピー肌にはとても刺激になります。
バリア機能が低下している肌は、外部の刺激を受けやすく、掻きむしることでできた傷口から細菌などが入り、炎症を悪化させる要因にも。
また、掻きむしることで肌の角質層がはがれ、ターンオーバーサイクルが早まってしまうことも考えられます。これにより未成熟な細胞が肌をつくることで、肌が薄くなり毛細血管が透けて見え赤ら顔になることもあります。
2. アトピー性皮膚炎の症状別治療法
アトピー性皮膚炎は大まかに4つの症状段階に分かれます。それぞれの症状段階によって治療内容も変わるため、症状が軽度の場合などはセルフケアで改善できる場合もあります。
アトピーはとても複雑な疾患なので、自己判断はせず、専門医に相談し一緒に治療方法を決めていく方がいいでしょう。
3. アトピーの赤ら顔を治すためにまず取り入れたい方法
病気によっては、どの病院を受診しても、ほぼ同じ治療を行われることもありますが、アトピー性皮膚炎の場合は、医師や病院によって治療内容に大きく差異があります。
自己診断は禁物ですが、正しい知識を身につけ、重症であれば薬物療法を試し、まだ症状が軽度であればスキンケアを見直しましょう。
3-1. 医師の指導のもと薬物療法を試す
アトピー疾患の薬物療法でよく用いられるのは、ステロイド外用薬とプロトピック軟膏です。
ステロイドというと抵抗感がある方が多いと思うのですが、それぞれメリット・デメリットがあり、また症状によっては向かないこともあるので、使用する際はかかりつけの病院の医師に確認した上で使用しましょう。
ステロイド外用薬
ステロイド外用薬は、皮膚の炎症を抑えるために、もっともよく使われている薬です。
軽症の段階よりも中等症〜重症な症状の時に処方されることが多く、薬の強さは5段階あり、症状に合った強さのものを使うことが重要になります。
炎症を抑える薬物療法では、ステロイド治療が標準治療となっています。
ステロイドは免疫抑制作用による強力な抗炎症効果が期待できますが、炎症を起こしている部分だけでなく体内すべての正常な細胞にも働きかけるため、深刻な副作用が生じやすいというデメリットもあります。
ステロイドは医師の指導のもと、正しい用法・用量で炎症を抑えるために一時的に使用し、長期的な使用は避けることが賢明でしょう。
■ステロイド外用薬の副作用による赤ら顔について
長期間ステロイドを使い続けることで原因で、赤ら顔になってしまうこともあります。
ステロイドの長期使用することでの赤ら顔に影響する副作用この4つです。
- 毛細血管拡張・・・毛細血管が拡張し皮膚が赤くなる
- 血管の脆弱化(ぜいじゃくか)・・・血管壁がもろくなるため、簡単に出血する
- 色素異常・・・アトピーの跡が色素沈着する
- 脱ステロイドのリバウンド・・・赤いやけどのように皮膚が腫れ上がったり、血管が開いて炎症が起きる
プロトピック軟膏
プロトピックとは免疫抑制外用薬です。
免疫抑制外用薬とは中程度のステロイド外用薬と同じくらいの症状を抑える効果があります。
ステロイドとは違い、長い期間使っても皮膚の萎縮や血管拡張を起こさないメリットがあり、顔の赤みに対してはかなり効果的です。
ですが、プロトピックは刺激性が高いため、傷がある箇所には使用できません。
アトピー症状が重症の方や、中等症の方でも掻きむしった傷がある場合などに使用してしまうと、ほてりや痒みというレベルではなく、耐えられないような刺激が生じることがあるので注意しましょう。
3-2. 軽度の赤みの場合はスキンケアを見直す
スキンケアのポイント
- 石けんや洗顔料は泡立ちすぎないものを使用する
石けんや洗顔料の洗浄作用は界面活性剤によるものです。
界面活性剤とは水と油のどちらにもなじみやすい性質を持つ物質で、洗浄作用のほか起泡作用もあります。つまり一般的に泡の立つものほど洗浄力も強いものといえます。
アトピー性皮膚炎の方は年齢や個人差により肌状態は違うものの、多くの人に共通しているのが乾燥しやすいということです。
洗浄力の強いものは、肌に必要な皮脂も洗い流してしまうことがあるため、より肌の乾燥を招きます。そのため、あまり泡立ちがよすぎるものは好ましくありません。
- 肌をこすりすぎない、洗いすぎない
肌をこすりすぎると、それが刺激になって症状を悪化させます。
洗いすぎは皮膚をおおっている皮脂膜を取り去り、むき出しの状態にしてしまうので、肌に水分を留める力が弱くなり、外部の刺激を受けやすくなります。
- 肌を清潔に保つ
アトピー性皮膚炎に限らず、皮膚の病気では清潔に保つことが不可欠です。
外からついたほこりはもちろん、自分の体から出た汗なども肌を刺激します。汚れた肌にはウィルスや細菌もいっぱいついています。肌の清潔はこれらの感染を防ぐ意味でも重要です。
- スキンケア製品は低刺激のものにする
せっけんやシャンプー、化粧品など、肌につけるものは香料や色素など添加物の少ない、低刺激のものを選びます。ただし低刺激であっても人によって合わない場合があるので、症状の変化をみながら自分に合ったものを見つけましょう。
- 化粧水をつけるときは必ず手でつける
化粧水をつける時の注意点は、コットンは使用しないこと。コットンの線維が肌にひっかかってしまい、肌に負担をかけてしまう恐れがあります。清潔な手で、押さえるようにつけていきましょう。
普段のスキンケアでアトピーをケアする
アトピー肌の方の化粧品を選びでは、この2つをポイントに選ぶことをオススメします。
- 低刺激で、肌への負担が少ないもの
- パッチテストやアレルギーテストなどの安全性を試験済みのもの
アトピー性皮膚炎で赤みがある肌状態は、炎症を起こしているため、いかに肌に刺激を与えないようにケアするかが重要です。
筆者自身、かなりの敏感肌で肌に合わないスキンケアを使用すると、一瞬で真っ赤腫れ上がってしまうこともあるため、今まで敏感肌向けのスキンケアをたくさん試してきました。
今回は実際に試してきたなかで、アトピー性皮膚炎の方に、これはいいなと思うオススメのスキンケアをご紹介します。こちらは個人の感想であり、効能・効果を保証するものではありませんので参考までに。
NOV ノブ Ⅱ フェイスローション/4,000円(税抜)
配合成分を極力少なくし、原料の精製度の高さにもこだわった処方。とても敏感なお肌にもやさしい 低刺激性化粧水です。
引用元:NOV公式サイト
内容量:120mL
無香料・無着色・アルコールフリー
パッチテスト済み
アレルギーテスト済み
日常的なスキンケアとしてさっぱりとした化粧水がお好きな方に
同じNOVシリーズのノブⅢフェイスローションよりも、より低刺激だと思います。
テクスチャーはサラッとしている化粧水ですが、肌荒れしている肌にも刺激なく使用できるので安心して使用できますね。
保湿の点では物足りなさを感じることもあり、保湿の持続性は欠けますが刺激がないという点が、アトピー肌の方にはご使用いただきやすいと思います。
白漢しろ彩ラメラローション/価格:5,600円(税抜)
無添加処方の敏感肌でも安心して使用できる化粧水。東邦大学医学部皮膚科でアトピー性皮膚炎の方を対象に安全性を臨床試験済み。
内容量:100ml
無香料・無着色・パラベンフリー・アルコールフリー・鉱物油フリー
パッチテスト済み
日常的なスキンケアとしてしっとりとした化粧水がお好きな方に
かなりとろみのあるテクスチャーで浸透力がいいというのがすぐにわかります。私個人には元々とろみがある化粧水は苦手だったのですが、こちらの化粧水は肌にスーッと浸透するので、使いやすいです。保湿の点ではこれ一つで十分なくらいの保湿力で、かなりうるおい感があります。
特に、東邦大学医学部皮膚科でアトピー性皮膚炎の方を対象に安全性を臨床試験済みという点が安心してご使用いただけるポイントになるかともいます。肌への刺激はこちらもまったくありませんでした。
カタライザーミストスプレー/価格:2,800円(税抜)
顔の赤みや肌荒れなどでかゆみがある方でも使用できる99.5%天然物質の化粧水です。天然ミネラルを含むフムスエキス(整肌成分)のミストがお肌のキメを整え、皮膚をすこやかに保ちます。
内容量:100ml
無添加処方
肌荒れがひどく化粧水でも刺激に感じる時などのスペシャルケアに
わかりやすく例えると温泉水のようなイメージです。本当に化粧水というよりは、水に近いミストです。
何がオススメかというと、このミストは肌荒れしている時こそ力を発揮してくれます。綺麗なお肌に使用しても変化はほぼ感じないと思いますが、肌が荒れていて何もつけられない時でも、99.5%天然物質の化粧水なので刺激なく使用でき、何より肌荒れの落ち着きが早いです。
私個人的には魔法の水だと思っています。ただ保湿力はほぼないので、感想が気になるときは他のアイテムと併用がいいでしょう。
4. アトピーの悪化要因を改善する
4-1. 食生活
良質なたんぱく質をたくさんとる
皮膚の組織を修復・再生する栄養素はたんぱく質です。
もともとアトピー疾患がある方は、かさぶたの形成や浸出液の漏出などにより、血中のたんぱく質が減ってしまいます。そのため皮膚を修復・再生させる分が不足しがちなので、たんぱく質を摂取する必要があります。
下記のような、良質なたんぱく質を豊富に含む食品で補っていきましょう。
- 牛肉
- 豚肉
- 鶏肉
- 魚肉
- 牛乳
- ヨーグルト
- 豆腐
- 納豆
- チーズ
また、野菜や海藻類に含まれる食物繊維が腸内環境を整え、アトピーが改善するという報告もありますので、繊維質を多く含む食品も積極的に食べるようにしましょう。
油は『α-リノレン酸』を使うようにする
アトピーの食事療法の中でも有効な手法の一つに、油(脂質)のとり方があります。
脂質を大別すると、バターやラードなどに含まれる「動物性脂肪」、植物を原料とする「植物性脂肪」、そして「EPA・DHA」があります。さらに植物性脂肪は3つに分かれており、α-リノレン酸は炎症物質を抑えてくれます。
- オリーブ油やキャラノーラ油など・・・オレイン酸系
- コーン油や紅花油など一般的な植物油・・・リノール酸系
- えごま油やしそ油など・・・α-リノレン酸系
α-リノレン酸が豊富に含まれる食品はしそ油・えごま油・あまに油です。普段の食事のおかずに小さじ1、2杯かけるだけで、十分に効果が期待できます。
4-2. 生活環境
規則正しい睡眠をとる
傷ついた皮膚は寝ている間に修復されます。実際仕事が忙しく十分な睡眠が取れない日が続くとアトピーが悪化することがあるようです。
睡眠をとる時間帯を気にするよりも、睡眠直後の3時間が特に重要と言われています。
大切なのは自身で熟睡した感覚を得られているかいないかなので、熟睡できる環境をつくり、規則正しい睡眠リズムを作りましょう。
規則正しい睡眠リズムを作る3つのコツ
- 就寝・起床時間を一定にする
- 朝の太陽を浴びて体内時計をリセットする
- 適度な運動を習慣にする
炎症があるときはノーメイクがベスト
顔に炎症があるときは外出の際など、メイクで隠したいという気持ちはわかりますが、メイクも肌を刺激する要因になります。できるだけノーメイクで過ごしましょう。
仕事や外出時にどうしてもメイクをしなくてはいけないときは、下地を使用した上から、ファンデーションやフェイスパウダーを薄く重ねる程度にしましょう。このときも、指やスポンジでこすってしまうと刺激になるため、メイクブラシを使用するのがオススメです。
5. まとめ
アトピー性皮膚炎が原因による赤ら顔を治すには、炎症を抑えること以外にも、アトピー自体の改善をしないことにはなかなか難しいです。
アトピーはとてもデリケートな治療になるので、根気よく治療を続けることが大切です。
通いつけの病院で医師の指導のもと、適切な治療をしながら、セルフケアもしていきましょう。
その他の赤ら顔の原因について詳しい記事はこちら
→【医師監修】赤ら顔の治し方!9つの赤ら顔タイプ別改善方法をご紹介
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