はじめに
紫外線量の増えるこの季節、いつのまにか肌に湿疹が出来たり、目が充血したり、痛いという人が増えます。また中には、頭痛やだるさなどで体調が今ひとつだと訴える人もいるようです。
もしも、これらの症状に思い当たるなら、あなたも「もしかして、紫外線アレルギーでは?」と疑ってみてもいいかもしれません。
紫外線アレルギーは、ひどくなってしまうと完治までに時間がかかってしまうので、自分には関係がないと思わずに自分の症状を確認。もしも紫外線アレルギーの可能性があれば、症状の軽いうちにケアをして、悪化させないことが大切です。
また花粉症と同じで、昨年までなんともなかった人が急に発症することも多いのが、アレルギーの特徴の一つです。紫外線アレルギーでないと思った方も、紫外線対策をきちん摂り続けて、発症前させないことが大事です。
目次
1. 紫外線アレルギーの主な症状
紫外線アレルギーは正式には「光線過敏症」といいますが、その他に、日光過敏症、日光アレルギーとも呼ばれています。
食物アレルギーや金属アレルギーなどと同様で、普通はなんでもないはずの、日光を浴びることで、体が異常な反応を起こし、肌、目、体に不調が起こるのが、紫外線アレルギーです。
紫外線アレルギーの症状は、他のアレルギーや疲労、日焼け、熱中症などにも似た症状があるため、紛らわしいことがよくあります。
そこで、紫外線アレルギーかな?と思ったら、UVケアを徹底し、紫外線を避けてみてください。それで、症状が収まるようなら、紫外線アレルギーの可能性があります。そして再び日を浴びたときにやはり調子が悪くなるなら、紫外線アレルギーの疑いが濃厚です。その場合は、一度、病院で「光線過敏症」テストを受けてみることをおすすめします。
自分もしくは家族がアレルギー体質の方、最近急に複数の症状が起こった方は、可能性が高いかもしれません。
紫外線アレルギーの症状が出る部位は大きく分けて3つで、「肌に表れるもの」「目に表れるもの」「頭痛など体調に表れもの」があります。
では、まず紫外線アレルギーの症状から見ていきましょう。
1-1. 肌に表れる紫外線アレルギーの症状
・赤く腫れる
・湿疹ができる
・湿疹や、じんましんしんが出る
上の3つが主な症状ですが、正確には発症年齢、光に当たる量、症状の現れ方などによって、皮膚炎が起こるメカニズムが違い、対策も変わります。
下の表外線が原因で起こる主な皮膚トラブルです。
紫外線アレルギーの主な病名
例えば日本人の4%に認められるという、比較的軽症で頻度の高い発症となる「多形日光疹」の場合は、日光に当たった部位のみに、粟粒大の赤い湿疹が出ますが、紫外線に当たらないようにすることが大事ですが、外用薬や化粧品に含まれる成分に紫外線が当たることで、アレルギーを起こす「光接触皮膚炎」のような場合ですと、原因となる外用薬や化粧品をまず止めることが大事なこととなります。
症状がつらいとき、なかなか治まらないときは、まずは病院で診てもらい正しい対策をとりましょう。
1-2. 目に表れる紫外線アレルギーの症状
・目のかゆみ
・目の充血
・涙が出る
・目に違和感がある
・瞼がはれる
・目が痛い
・目がかゆい
肌に紫外線が当たると、肌がダメージを受けることは多くの人が知っていますが、目に紫外線があたるともっと大きなダメージを受けます。だから人は無意識に太陽光線が目に入りそうになると、「まぶしい~」と目を閉じるわけです。
眼精疲労や季節によっては花粉症と間違えやすいため、目に症状が表れる紫外線アレルギーは見落とされがちです。
特にパソコン操作などで、目をよく使う人は要注意で、目が疲労していると、角膜を守ってくれている涙液の分泌が減少するため、紫外線が角膜にとどきやすくアレルギー反応も出やすくなります。
市販の目薬で不足している涙液を補って様子をみながら、それでも症状が続くようなら早めに病院へ行きましょう。
1-3. 体調に表れる紫外線アレルギーの症状
・頭痛
・吐き気
・だるさ
・めまい
・下痢
紫外線アレルギーは肌や目の症状とともに、上記のような症状がでることもあります。また、日光に当たって体調が悪くなる場合は、これ以外に日射病や片頭痛もあり間違えやすいです。
どの場合も、光の刺激のない環境でしばらく休み、それでも症状がつらいなら、病院で受診する方がよいでしょう。
2. 突然に紫外線アレルギーが起こる原因
紫外線アレルギーも他の多くのアレルギーと同様に、体が日光を異物だと判断して抗体を作りだすことが、そもそもの原因です。そして、その抗体がある限界まで増えたときに、アレルギー症状が発症します。
つまり、その人のアレルギー発症までの限界がコップ1杯分とした場合、日光を異物だと認識し始めた体が抗体を作り始めても、コップから溢れる量にならなければ、アレルギー症状は現れません。去年まではなんともなかったのに、今年は急にアレルギーが起こるようになったというのは、今年に入って、とうとうコップから溢れてしまったというわけです。
また、人によって限界となるコップの大きさは違っていて、遺伝や体質、年齢、環境などさまざまな条件の組み合わせで、アレルギーになるか否かが決まります。
どんなに日光を浴びても、一生アレルギーとは無縁の人もいれば、生まれつき日光に過剰なアレルギー反応が出る人もいます。
紫外線アレルギーに限らず、中高年以降になってアレルギーを発症する人が多いのは、長年にわたって蓄積した抗体で、コップがいっぱいになったからです。
なので、アレルギーではない方も、安心は禁物!紫外線アレルギーを悪化させない、発症させないために、紫外線対策はとても大切です。
3. 紫外線アレルギー、自分でできる対処方法
紫外線アレルギーは、日光に当たらなければ症状がでることはありません。ですので、まずは日光を避ける「紫外線対策」がいちばんの対処方法です。
外出時だけでなく、家の中、車の中などでも「紫外線対策」を忘れないようにしましょう。
また、一年でいちばん紫外線量が多いのは5月なので、紫外線対策は3月頃から始めておくのがベストです。
3-1. 外出時に行う対策
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UVクリーム、ローションなどをしっかり塗る
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日傘や帽子は白よりも黒を選ぶ
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夏でも長袖やロング手袋をする
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日差しにきつい日中は外出を控える
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サングラスをする
UVクリームやローションは、敏感肌対応の無添加のものなどを選ぶようにして、肌にアレルギー症状が出ているときはUVクリームなどの使用も控えた方がよいでしょう。
また、サングラスを選ぶときは、紫外線が入り込まないように、顔との間に隙間の少ないスポーツタイプなどの方がおすすめです。UVタイプのコンタクトレンズを使うのもよいかもしれません。
1日のうち、一番紫外線量が多いのは12時前後。この時間の外出はできれば避けたいですね。
さらに、曇りも日であっても紫外線は地上に届いています。紫外線対策に気を抜かないようにしましょう。
3-2. 屋内での対策
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家にいるときもUVクリームなどを塗る
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窓ガラスにUVカットフィルムや塗料を塗る
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UVカットカーテン、もしくは遮光カーテンに取り換え
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なるべく窓際で過ごさない
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室内でも、肌の露出の少ない服を着る
紫外線にはA波、B波、C波の3種類がありますが、アレルギーを起こす可能性があるのが、A波とB波です。
A波は、肌の奥深くにまで届き、コラーゲンを破壊してシワの原因となる紫外線。B波は日焼けを起こしシミの原因となる紫外線です。
室内にいるから紫外線は大丈夫。と、思いがちですが、室内にいても紫外線の中でも中でもA波はしっかり届いています。お部屋が明るいなら、紫外線A波も一緒に入り込んでいると考えましょう。
それに対して紫外線B波は、窓ガラスの厚さが5ミリ以上なら、ほとんどが吸収されてしまいますが、薄いガラスだと室内に届いてしまいます。
と言われても、窓ガラスの厚みまではなかなかわからないものです。また、室内には家具などさまざまなものがあり、紫外線はそれらのものにぶつかって、反射し拡散するので避けづらいのです。
なので、室内だからといって気を抜くことなく、自宅の窓の紫外線対策と、UVケアや長袖、長ズボンなどで肌などを守ることが必要です。
3-3. 食べ物、飲み物の対策
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抗原のもとになる「ソラレン」を含む食物を避ける
※ソラレンを含む食物は下の表を参照
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ヨーグルトや漬物、キムチなどの発酵食品を摂る
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ビタミンAを含む豚肉や鶏レバー、緑黄色野菜を摂る
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飲んでいる薬を見直す
柑橘類やキュウリ、香草類の中に含まれる「ソラレン」という物質は、紫外線を吸収する性質があり、そのためアレルギー反応を起こしやすいのです。少なくとも、これから日を浴びる朝食や昼食に、これらの食品を摂ることは控えましょう。
キュウリやレモンで肌パックをする方法がありますが、これもソラレンが紫外線を吸収してしまうので、おすすめできません。
また、ヨーグルトは腸内環境を整えて免疫力を上げてくれますし、ビタミンAは皮膚や目の粘膜を守ってくれますから、積極的に摂取するようにしましょう。
薬を飲んでいて紫外線アレルギーが発症した場合は、薬の中の成分が紫外線に反応した可能性があるので、お医者様に相談するなどして薬を見直すことをしてみましょう。
~紫外線を吸収してしまう「ソラレン」を含む主な食品~
柑橘類 | レモン、オレンジ、グレープフルーツ、キーウィイ、アセロラ、ミカン |
香草類 | パセリ、セロリ、大葉、パクチー、コリアンダー |
その他 | キュウリ、クロレラ、ジャガイモの芽 |
おわりに
紫外線アレルギーはまだあまり認知されていない症状です。また、日焼けや日射病、眼精疲労と間違えやすく、本人が自覚していないことも多いです。
症状がとてもつらいと感じるとき、また、症状が長引いたり、繰り返し起こるときは、一度、皮膚科やアレルギー科のある比較的大きな病院で、「光線過敏症」の検査を受けてみられることをおすすめします。
もしも、紫外線アレルギーだと認められた場合は、ステロイド剤などでの治療を受けることになります。同時に、睡眠をしっかりとる、ストレスの軽減、食生活の改善などして、免疫力を高めていくように務めましょう。
時間はかかるかもしれませんが、UV対策をしっかりとりながらあきらめずに頑張りましょう。